今日は大阪の賢者屋にて、とあるイベントに参加してきました。

タイトルは「働くとは何か」。働くことに対して、ネガティブなイメージを持つ日本人は少なくありません。米ギャラップ社の調査によると、アメリカでは夢中に「働いている」人が30%以上存在するのに対し、日本には夢中に「働いている」人が なんと6%しかいないそうです。

 

このイベントでは、「なぜ夢中に働く人が少ないのか」、そして「そもそも働くことに対して正しい認識を持っているか」をテーマとし、登壇者のシャルマボニー仁さんに教えていただきました。

以下 7/26「働くとは何か」のイベント紹介ページです

 

イベントコンテンツは以下のとおりです。

イベントコンテンツ

8:00~ 主催者の紹介

18:15~ 1部:アップデートされてる幸福の定義、アップデートしていない日本の教育、会社、そして働き方
– 「やりがい」とは?生産性にどう影響するか?
– 人事制度で見る日本企業の現在、なぜ「就活」が存在するのか。
– 今まで通りの就活の先に待っているモノ

2部:思考停止社会人ではなく、自分のSTORYを描ける社会人になるためには

– 「成長」の定義とは
– 「自分らしい人生」を送るためには?
20:00  終了

【第1部】アップデートされている幸福の定義、アップデートしていない日本の教育、会社、そして働き方

 

まずはじめに今回のイベントの目的とゴールは以下の通りとなっています。

 

目的
この場にいる人たちが他者のネガティブな口出しに影響されず、自分自身のSTORYを描くための情報を提供すること。
ゴール
日本の「働き方と思考法」の負に流されず、自分の意思と基準キャリア選択をし、今後大切な他者にもHAPPINESSを届けること。

 

そして今回のイベントの登壇者であるシャルマ ボニー仁さんについてです。

シャルマ ボニー仁さん

大阪府出身、幼少期~学生時代を日本、カナダ、アメリカ、インドネシア、インド、ドイツで過ごす。関西学院大学、国際学部卒業。大学入学後からキャリア教育への問題意識が芽生え、キャリア支援活動の他、教育系スタートアップで採用担当や教育事業を担当。新卒で日本IBMに入社し、Workday事業変革人事コンサルタントとして日本最大手企業のプロジェクトに参画。就職後もキャリア支援を続け、現在まで300名以上の20代と向き合う。今年の6月末に退職し、8月より株式会社ミライロでHRBP(人事統括)として働いている。

 

 

以下、イベントでメモした内容をまとめたものです。(※ここで紹介させていただいた内容が全てではありません。私が解釈できる範囲でまとめたものであり、ここに書いたこと以外にもたくさんお話していただいているので、他の方の記事も参考にしてくださると幸いです。)

 

やりがいとは何か

まずはじめに、イベントの参加者で自分たちが考える「やりがい」をイメージして共有してみました。

 

例えば、

  • 人の役にたつこと
  • 達成感
  • 理想の実現
  • 楽しさ
  • 自己成長

などが挙げられました。

 

ちなみに「やりがい」を広辞苑で調べてみると、

そのことをするだけの価値と、それに伴う気持ちの張り

と出てきます。

 

やりがいとはつまり、何かを行ったときに得られる満足感や幸福感のことを指します。ここで面白いことに、やりがい(=幸福度の高さ)というのがなんと仕事の生産性に影響を及ぼすことを教えていただきました。これについて詳しく説明していこうと思います。

仁さんが社外で一番気づきを得られた、『自律のための5つのステップ』

先ほど「やりがい」が仕事の生産性に影響を及ぼすと言いましたが、さらに重要なキーワードが1つあります。それは「自律」です。

では自律とは何なのか、そして自律のために何をする必要があるのか説明します。

 

上の図は、自律のための5つのステップを示したものです。ちなみに自律するための5つのステップについては、仁さんが社外でプルデンシャル生命の人事育成担当者の言葉から引用されたものです。では順番に説明していきます。

 

まず1つ目のステップとして自分とは何かを自覚する必要があります。自分という人間は何が好きで何が嫌いなのか、科学的なものではなくシンプルに知る必要があります。

 

次に自発です。自発とは、”自”分から”発”信することです。自発に関して、日本人は海外の人と比べると、自分を表現することが少ないため、できていない人が多いそうです。

 

3つ目は自信です。自発をすることで自分を信じる自信が生まれます。しかし自信をつけるためには何かをしないと自信が生まれてきません。

 

それが4つ目の自立です。自立ができると最終的に5つ目の自律ができるようになります。自立と自律の違いは、「決まっていることを自分からやる」ことが自立に対して、「決まっていないことを自分からやる」ことを自律といいます。

 

何かを知りたいと思ったときや何かをしたいときには、自覚から自律までできていることが望ましいです。そして自律した状態で且つ最初に説明したやりがい(=幸福度の高さ)が大きければ大きいほど、結果として仕事の生産率が30%、営業成績が37%、そして創造性が従来の300%もアップするそうです。

 

冒頭でも説明したように、日本には夢中に「働いている」人が  6% しかいないそうです。ではなぜ、最近の日本には楽しく仕事をしている人が異常にに少ないのでしょうか?そしてなぜ日本は成長できたのでしょうか?

第三次産業革命時代は世界最強だった日本企業

 

戦後の日本では、商品やサービスは大量生産のものが主流でした。例えばPanasonicのように、良いものを安く・大量に・早く作って売ることが当時の勝ちパターンであり、また、一人一人の役割が細分化され、特化した仕事が多い分業制でした。

 

この時代はマーケットによって細分化される度合いが低く、一般大衆を主な対象とした市場で流通していましたが、当時の日本では人口が増加している最中だったため、必然的に売上も伸びていきました。

 

そして同時に、世界最強の勝ちパターンを可能にしていたのは、なんと終身雇用なのです。

当時の日本ではほぼ全ての企業が職能資格制度を採用しており、年次に応じて仕事の難易度が高まっていきました。それはつまり、年齢によって仕事が変わったということです。職能資格制度では年齢を重ねるとそれだけ職業上の能力が上がると見なされていたため、結果として同じ会社に長く在籍していればいるほど給与が上がっていきました。また、定年まで在籍すれば多額の退職金も得ることができるのです。

 

年次に応じて仕事の難易度が高まるため、ほぼ無条件で現在よりも高い壁を越える機会が得られる一方で、「初めて」のことに必ず向き合わなければならないので、その度に自身の力量不足を痛感することになります。しかし、仕事を指導してくれる先輩や同僚がいるため、会社への忠誠心も同時に高まるのでした。

 

もちろん海外にも年功序列という制度は存在しました。しかし、特に当時の日本には年上が絶対という価値観が根付いていたため、今と比べて働く人々にも不満が出なかったそうです。

 

当時の日本人にとっての「働く」とは?

当時の日本人は、主に引退(定年退職)まで大企業で務めるという安定と、会社に身を任せ受け取れるお金で自身と家庭を養う幸福を軸として過ごしていました(一概にそうとは言い切れませんが…)。

しかし、1987年10月19日(月曜日)にある事件が起こりました。

 

ブラックマンデーです。

 

ブラックマンデーとは香港を発端に起こった世界的株価大暴落のことです。ブラックマンデーを境に、世界中の人々に『いつかまた来る危機に備える必要がある』という危機感が生まれ、起業に伴うリスクへの意識が変化しはじめました。

 

1989年、組織改革「ワークアウト」をはじめグローバル人事の先駆者となったのが、有名なゼネラル・エレクトリック社(GE社です。GE社のようなグローバル人事を採用している会社が、現場を巻き込んで一体となって会社を動かしていく一方で、日本はドメスティック思考のままだったそうです。

 

当時の日本の「国際人事部」は、駐在員の「お世話」をすることが主な役割でした。具体的には、安全な居住区域や住宅を探したり、保育所や学校を決めたりすることです。しかし、再び悲劇が訪れます。

 

リーマンショック後の日本

 

2008年9月、大手投資会社リーマン・ブラザーズが経営破綻したことで「リーマンショック」が起こりました。第四次産業革命時代へシフトしたのはこの時です。

 

この時日本企業の人事は、人事制度のグローバル化は不可能と気づきました。理由は様々ですが、誰がどこにいるか把握していなかった、職能資格制度により「年齢」=「スキル」という概念が払拭し切れず、高次元資本主義の働きにシフトされていなかった(後で解説)などが挙げられます。

日本企業の人事は慌てて3つのことに取り組みましたが、いずれも以下の結果で終わってしまいました…。

  • 海外の現地法人をマネジメントでき、英語が堪能、海外経験と文化の多様性理解もでき、事業を牽引できる日本人を探す

簡単に見つかるわけがない

  • 海外の現地法人で働く外国人の中にマネジメントができる人を探す。

探し方が分からない、そもそもこれまでに現地法人の人材が把握できていなかった。

  • 海外現地法人の人事部に上記の人材を探してもらう。

うまくいかず。これまで国境を越えた人事部間の交流もなかった。海外の人事部に人材を探すのを頼むことは他社の人事部に人材紹介をお願いするようなもの。

2010年頃、一部の日本企業は教育研修のプログラムを導入し始めました。タレントマネジメントという言葉が拡がり始めたのもこの頃です。

しかし、ほとんどの日本企業が生き残るために取った選択が、最も容易な戦略でもある、価格を下げて他企業の大量を奪い倒産に追い込むlast man standing戦略です。この戦略では、既存のビジネスを変えず小さくなり続けるパイで戦い続け、結果的に他社の利益を削っていくことが前提としてあり、もし自社の利益が乏しくなると、経営者は人件費に手をつけるようになります。その結果、非正規の増加ボーナスの削減サービス残業増加が発生し、日本の働き方はますます楽しさを失うことになっていったのです。

 

これからの人事と採用の姿

これまでの終身雇用のような第三次産業革命時の働き方から、第四次産業革命の働き方に日本もシフトしなければいけないと仁さんは訴えます。

また高次元資本主義実現のために、経営から求められる「働き方改革」は業務効率性を高めるだけではありません。

  1. 付加価値を生み出せる人材の獲得
  2. 付加価値を生み出せるように適材適所に人材を配置
  3. 会社に残ってくれるためにエンゲージメントを向上

 

経営者は「働き方」を変えて、業務のあり方を見直し付加価値を創造するだけでなく、優秀な人材が転職しないように、エンゲージメントの向上を意識する必要があります。また、人は「マシーン」ではありません。各社員がもつ個性を活かし、それらをマネジメントすることで、様々なイノベーションや多彩なチームワークが生まれる環境を目指さなければいけません。そして、社員の個性を大事にする根強いカルチャーも今後世界で成功するための大きな鍵となります。

エンゲージメント向上と社員の成長のために、各経営者たちはITの力を借りてタレントマネジメントを実践しています。タレントマネジメントに関しては、イベント内でカメラ撮影禁止となっていましたが、Google先生で調べたところ、詳しい記事があったのでリンクを貼っておきます。

タレントマネジメントが完全に機能するには最低5年かかると仁さんは考えているそうです。個人的に学んだことを踏まえると、日本の企業の中では、特にメルカリがタレントマネジメントに秀でているのではないかと考えます。なぜならメルカリは、欲しい人材を国内外から雇用し、且つその目的が明確であることから評価されているためです。

他にタレントマネジメントの良い点として、蓄積データを活用した要因分析により、経営判断を支援する、グローバルでの人材を発掘、育成、リクルーティング等を実施することができる等があります。人事は文化ではなく戦略なのです。

現代では筋力よりも知力が重視される時代です。キーワードはダイバーシティです。
いろんな考えの人が組織にいた方が、新しいアイデアや視点が増えます。

新卒採用は第三次産業革命時代だからこそ実現し、通用した日本企業独自の採用戦略です。当時ほとんどの日本企業の中期経営計画には、ビジネスを成功するためにどのような人材を獲得育成するかの記載がありませんでした。そして当時だけではなく、今も殆どの企業を指しているのです。

今後私たちはどう考えるべきか?

今後私たちは、「市場価値をどうやって高めるのか」を考えて実行する能力が必要となってきます。

仁さん
重要なことは好きなこと・したいこと・できることを見つけ、行動することです。好きなことしたいことでないと人間はもともと成長しませんし、できることでないと能力は発揮されません。これらを実現するために人事は言語化を手助けし、適切な配置をするべきです。

 

人がある領域の仕事を習得することを熟達化と呼びます。そして熟達化には2つのタイプがあり、定型熟達型適応的熟達型に分けることができます。現在の社会に求められているのは後者です。
また人が有能さを発揮できる領域は限られており、このことを領域固有性と呼びます。つまり人事はこれをきちんと把握し、人を適材適所に配置することが重要になります。

ちなみに何かを熟達するためには、「注意を必要とする練習」が必要になるそうです。注意を傾け、熱心に繰り返し、最低でも5000時間チャレンジし続けることでようやく熟達者になることができるそうです。

ですがいくら初学者がすぐに熟達者になろうと思っても、初学者は熟達者の仕事のどこに注目すれば良いか分かりません。そこで、先輩や上司などの有能な他者との共同作業が最大の景気になるのです。

大人の学習は問題解決的目的志向的です。現実の生活の課題を解決する学習を必要と感じた時にようやく大人は重たい腰を上げるのです。学ぶべき内容に関連性が見いだせないとき、学習者は学ぼうとしません(これをlearners need relevancyともいう)。

これは受験生がセンター試験の勉強で将来使いもしない古典単語や化学式の暗記をするのと同じことでしょうか?(笑)社会人に限らず学生も、学ぶ目的と動機がはっきりわからないとコストを払ってまで学ぼうとはしませんよね(笑)

以上のことを踏まえ、重要なことは、
自分が何ができるか自覚し、主体的に働いている人が集まっている組織、社員育成が評価制度に含まれている組織、そして自分の意志、夢を尊重する組織に入ることです。

 

仁さんは最後にこんな言葉でイベントを締めてくださいました。

仁さん
人はひとりだけでは一人前になれない
あなたはひとりの力で一人前になったわけではない
人が一人前になるとき、その傍らにはかけがえのない他者がいる

今回のイベントを通して、私は人事について詳しく知らなかったのですが、日本の企業の歴史や人事の存在意義について知ることができました。またどんなに優れた人事でも、ある人材の適正スキルやなりたい姿の方向性を理解するには、最低でも90分は必要となるそうです。面接で瞬時にその人の人柄を把握し、採用時にその人材を適材適所に配置する人事は会社に欠かせない存在であると思いました。「人事が強い会社はビジネスにおいても強い」と仁さんがおっしゃっていたのも理解できた気がします。

何か今回の記事で参考になれば幸いです。

 

~おまけ~

まえた
インプット量が多すぎて頭が痛い…
おわり

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